薬師堂と薬師如来について、ご説明いたします。
目次
薬師如来とは
薬師如来(やくしにょらい)は、正式には「薬師瑠璃光如来(やくしるりこうにょらい)」と呼ばれます。その名前の通り、「瑠璃(青い宝石)」のように清らかで美しい光を放つ仏様で、病を癒し、人々の健康を守る仏として知られています。
役割と願い
薬師如来は、現世において苦しむ人々を救い、病や煩悩(心の迷いや苦しみ)を取り除くための誓願を立てたとされています。その誓願は「薬師如来の十二の大願」と呼ばれ、人々に健康と安らぎを与えることをお誓いになったのです。
特に以下のような働きがあるとされています。
- 病気や怪我の治癒
- 長寿の加護
- 心身の健康
- 苦難や不安からの解放
そのため、薬師如来は「医薬の仏」とも称され、古くから人々の信仰を集めてきました。
薬師堂とは
薬師如来を本尊としてお祀りするお堂が「薬師堂」です。
日本各地に薬師堂が点在し、多くの人々が健康祈願や病気平癒のために参拝します。特に昔は医療技術が限られていたため、薬師堂は「医療施設の代わり」としても機能していました。
お堂の特徴
- 本尊として薬師如来像を安置…両脇には「日光菩薩」と「月光菩薩」が配置されることが多いです。この三尊像は薬師如来の守護役を果たします。
- 十二神将の護衛…薬師如来を守護する十二体の武神「十二神将」が配置されることがあります。これらは1日に2時間ずつ、24時間薬師如来を守っているとされます。
- 薬師湯・お香の利用…一部のお堂では薬師湯(薬草が入った湯)を分けてもらえたり、香を焚いて病気平癒を祈る儀式が行われます。
薬師如来と薬
薬師如来は、薬を意味する「医薬」を仏教の教えと融合させています。ここでいう「薬」は、肉体の病気を治す薬だけではなく、心の苦しみを和らげる教え(法薬)も含まれます。